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想い

 奈良広隆寺に余りにも有名な思惟観音木像がある。その繊細な抒情の美は誰の心にも東洋の美を感じさせる。私が描く日本酒も、東洋の美しさに裏打ちされた日本の文化としての酒であり、私どもが醸す酒もそうありたいし、そうならなくてはならないと常々思っている。

 日本の装置産業の発展は世界に冠たるものがあり、その技術的水準の高さは誰もが認める所である。しかし、一粒の米を巨大で精巧な装置に注入したとしても、コンピューター制御によって吟醸酒、純米酒、本醸造と分かれて製品として出てくることは決してないし、もし可能になったとしても、味気ない至酔飲料に過ぎない製品にしかならないであろう。

日本酒こそ伝統産業であり、文化のシンボルでなければならないと思っている。いつまでも、この文化的産業を維持していきたいと考えている。
蔵に松尾大社酒造りの神を祭り、各蔵々に注連縄を張り、心清らかに杜氏を中心に精進している。日本酒というものは、製造するものではなく、あくまで慈しみ育てるものである。私ども自体も決して工場でない。現に「蔵」と呼びますし、私の業もまた、清酒育成業に他ならない。
全国には数多くの蔵があるが、その地域に根ざし愛されるためには、こんな素朴な姿勢こそが大切で、それがキラリと光る酒質を醸成する唯一の途だと考えている。

 日本酒の濃度は日本の心を流れる血液の濃度と同じ濃さである。民族の酒たる所以は、そこにのみ存在するのである。厳しく鋭い目で見つめられ、その負託に応えてこそ、民族の酒であり、永い間、それこそ気が遠くなるような時間、民族が見届けてこそ民族の酒であり得るのだ。日本酒は永遠であると信じてやまない。

 私ども日本吟醸酒協会は、日本民族の叡智を結集して育てあげた吟醸酒を通して、日本酒の世界を少しでも広げられる様に、吟醸酒の大いなる可能性を信じて様々なことにチャレンジしていきたいと思っている。
深い自制と勇気を持って・・・。






日本吟醸酒協会 理事長
出羽桜酒造株式会社
代表取締役社長 仲野 益美 







at 09:44, dewazakura, -

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ブログ開設おめでとうございます。
これからも日本酒復権に関しての
すばらしい取り組みを期待しています。
よろしくお願いします。










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